「Evernote は道具でありインフラでもある」――アニメーション監督・新海誠さんの Evernote 活用法

使い方と事例

「Evernote は道具でありインフラでもある」――アニメーション監督・新海誠さんの Evernote 活用法

2013/5/28 by Evernote Japan

2013/5/28 by Evernote Japan

コメント

学生さんや研究者、ミュージシャンの方など、Evernote は様々な職業の方にご活用いただいています。今回ご紹介する Evernote ユーザーは、『ほしのこえ』『雲のむこう、約束の場所』『秒速 5 センチメートル』『星を追う子ども』といった数々の傑作を世に送り出し、5 月 31 日に最新作『言の葉の庭』が公開になるアニメーション監督の新海誠さん。日本を代表するアニメーション監督の Evernote 活用術に迫ります。

1氏名:新海 誠(しんかい まこと)

公式サイト:Other voices-遠い声-
『言の葉の庭』公式サイト:言の葉の庭

Twitter: @shinkaimakoto

 

「『今日、映画の初日で辛い』とか書いてます(笑)」

――さっそくですが、Evernote との出会いを教えていただけますか。

新海「はっきりは覚えてないのですが、iPhone を買ってからなので2011年の4月くらいでしょうか。複数のデバイスで同期してくれるメモアプリがほしくて探していたら、たぶんウェブの記事で Evernote のことを知って、それから使っています。すごくシンプルで、そこが良かったですね」

――Evernote の前はどんなソフトを使われていたのでしょうか。

新海「僕は Mac ユーザーなのですが、それまでは MacJournal というパッケージソフトを使っていました。ライフログというほどでもないのですが、主に日々の記録とか、考えた内容などを書いていたんです。ただ、自宅とスタジオと出先、それぞれから同じようにアクセスできないことが単純に不便でした」

2――現在はどのような使い方を?

新海「大きく分けて2つ、プライベートと仕事ですね。プライベートではまず、ツイエバを使って Twitter のログを記録したり、それとは別にプライベートの日記的な使い方をしています。MacJournal で書いていたものも入れているので、ここ10年分くらいが入っていることになります。内容は……たとえば『誰々と飲んだ』とか、『今日、映画の初日で辛い』とか(笑)。毎日書いているわけではないですけどね」

――お仕事では?

新海「アイデアを思いついたときにメモするのと、制作中の記録、資料のクリップなどですね。本を読んでいて気に入ったフレーズを書き留めたり。単に考えていることを入れているだけとも言えますが、大げさに言えばそれこそが創作の秘密とも言えるかと思います。ちょうど『言の葉の庭』という作品を1年くらい作っていたのですが、その脚本のひな形や企画書も入れていますよ。アニメの制作が終了すると今度は講演やイベントが増えてくるので、そのレジュメなども入れてますね。執筆中の小説版『言の葉の庭』も Evernote で書いています。iPhone では FastEver というアプリを主に使っています。起動が早いですし、タイムスタンプを入れやすいので」

――他のスタッフとシェアするような使い方はされますか?

新海「していないですね。本当にプライベートの引き出しという感じです。シェアしたいときは GoogleDoc などを使います。アニメの制作ではまず企画があって、次に絵コンテ、そして映像制作に入るのですが、絵コンテ以降は画像・映像の専門ツールが必要になるので、Evernote はそれ以前の段階で使います。具体的な話をすると、スケッチなどは Photoshop で描いてファイルとして管理、絵コンテのファイルは Mac の Finder と Dropbox で管理、ロケハンの写真は Aperture というアプリで、という具合です」

 

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「Evernote と iPhone の組み合わせで生活が変わりました」

――作品制作の流れだと、最初と最後の段階で使っていただいているのですね。

新海「もちろん進捗メモなどのテキストについては、並行して Evernote を使いますけどね。僕にとって Evernote はあくまで紙のノートの延長線上にあるものなんです。アイデアをメモしたり、ちょっとした資料写真や情報をWebからコピー・ペーストで貼り付けたり……デジタルがなければ紙のノートで同じことをやっていたでしょうし、Evernote がなければローカルか、もしくは別のクラウドサービスを使っていたでしょう。じゃあ Evernote の何が優れているかというと、シンプルなんだけどもっと複雑な使い方もやろうと思えばできるところかなと思います。僕はやらないかもしれないけど、そういうものをプラットフォームにして書いているという安心感があるんですよね」

3――たしかに Evernote ユーザーの中にはかなり高度に使いこなしている方もたくさんいらっしゃいます。

新海「そうですよね。Evernote を使いこなしている方のブログなどを読むと、すごく使いこなしている人がいて、そういう”ツールとしての使い方を突き詰める楽しみ”があるのもわかるんですよ。僕もアニメを作り始めたときはAdobeのAfter EffectsとかPhotoshopをさわるのがとにかく楽しくて、この機能を使ってみたいっていうところから入っていった部分もありますから。ただ、Evernote に関しては、やっぱり僕にとっては仕事のツールなんです。最終的な目的は映画を作ることですから」

――Evernote を使い始めて便利になったこと、変わったことはありますか?

新海「Evernote 単体ではなく、スマートフォンとの組み合わせで変わりましたね。単純にデスクトップに向かう時間が減りました。スマートフォンが出る前は、仕事としてはデジタルに依存しているにも関わらず、デスクトップの前を離れると仕事の一切にアクセスできないという不安があったんです。一番大事なものは職場のパソコンに入っていて、いつも自分と一緒にあるわけではなかった。それがこの3年くらいで、スマートフォンやクラウドベースのアプリが出てきたことで解消されましたね。Evernote 単品ではなく、クラウドというコンセプトやスマートフォンというテクノロジーとの組み合わせで大きく変わったなと感じています」

――クラウドサービスを使えば場所を問わず仕事ができる時代になりましたよね。新海さんがお持ちのデバイスは?

新海「iPhone と Mac ですね。Mac は会社と家、持ち運び用の MacBookAir もあります。家には iPad もあるんですが、子どものおもちゃになっていますね(笑)。コンピュータは昔と違って複数人でシェアするものではなく、個人のものになりましたよね」

 

「ファイルという概念から Evernote が解放してくれました」

――新海さんは SNS も含め、デジタルデバイスやサービスをかなり使いこなしていらっしゃいますよね。

新海「そうでもないと思いますよ。最近は情報をあえて入れることはしなくなりましたし。Twitter だけでも流れてくる情報が多すぎるので、自分でとりにいかないくらいでちょうどいいんですよね。もちろんブロガーの方のように、情報を積極的に取り入れて、それをアウトプットすることが自己表現になっている人もいると思います。でも僕たちの場合は情報をためこみ、リファインしてからパッケージ化して出すことが仕事なので、日々の自己表現はむしろ抑えておかないと、作品制作の邪魔になる感覚もあります」

4――なるほど。

新海「あと変わったといえば、ファイルという概念がなくなってきていると感じています。Evernote もそうですし、メーラーもそうなんですが、ファイルそのもの(実体)がどこにあるのかわからなくてもよくなりましたよね。Evernote を使えば、ローカルでテキストファイルを作成してフォルダに入れて管理して……とやらなくていいですから。ただ、仕事によってはファイルの実体がわかっていた方がいい場合もあるので、そこは使い分けですが、少なくともテキストに関してファイルという概念から Evernote が解放してくれたのは嬉しいですね」

――新海さんにとって Evernote とは?

新海「OS がそうであるように、僕にとっては文章を入れておくためのインフラですね。仕事をする場所であり道具なので、”Evernote を使っている” という感覚はあまりないんです」

――ありがとうございました。

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  • Takashi Michibayashi

    Evernoteを使い始めて3年強。大変重宝しております。Fasteverも使い易くなり、思いついた事を何でもEvernoteに放り込んでいます。 ScanSnapとの連携が良いのも大変気に入っている点です。
    でも、最近 サーバーが米国内にあるデータは全て米国の監視下にある、、、と聞いて、直接には関係無いと思いながらも、あまり心地良くないと思い始めました。こんな思いの人は他にも居られるのではないでしょうか? 利便性優先の観点から継続使用しており、直ぐには止めようとは思っておりませんが、、。

  • 水谷圭一

    evernote以前インストールしたことが有るけど、今は1iphoneを契約してないので使用できないでいる。そのうち又復活するかも。