獣医師による情報共有プロジェクト「VetNote」- 二本松医師が Evernote を選んだ理由とは

使い方と事例

獣医師による情報共有プロジェクト「VetNote」- 二本松医師が Evernote を選んだ理由とは

2016/3/1 by 山田井ユウキ

2016/3/1 by 山田井ユウキ

コメント

獣医師同士が情報を共有することで獣医療を発展させていこうという試みが注目を集めています。VetNote と名付けられたプロジェクトを主宰されているのは、京都府福知山市のにほんまつ動物病院で院長を務める二本松昭宏さん。プロジェクト発足から 5 年たった現在、参加獣医師数は 1,356 人にも上ります。

VetNote の情報共有に使われているのが、Evernote です。いったいどんな形で使われているのでしょうか。プロジェクト発案者である二本松さんに最新の獣医療の現状と VetNote についてお話を伺いました。

獣医師による情報共有プロジェクト「VetNote」はどのようにして生まれたのか

――まずは VetNote について教えていただけますか?

二本松:はい。VetNote は獣医師同士が情報を共有することを目的にしたプロジェクトです。情報をためる共有のメモ帳として Evernote を、VetNote への参加メンバー同士の意見交換やディスカッションに Facebook グループを活用しています。

――始めようと思ったきっかけは?

二本松:もともと私はまとめを作るのが好きで、治療に関するメモなどを Word で書いて PC にストックしていたのです。2010 年秋ごろに Evernote の存在を知って、そのメモがスマホやタブレットでも見られるのは便利だなと思って導入しました。Evernote を始めてから共有機能に気づいて、メモを他の人と一緒に見られるのは便利だなと。そこから獣医師の共有メモ帳が作れないかと考えたのです。私は「こんなのがあったらいいなというアイデアがあったら、それを形にする」ことをライフワークにしていて、VetNote もその延長線上にあります。他にも獣医療用の iPhone・iPad アプリも開発してリリースしたりしています。

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――幅広く活動されているんですね。ところで、獣医師といってもいろいろな分野があると思いますが、VetNote への参加条件は?

二本松:参加条件は「獣医師であること」とさせていただいております。獣医には大きく分けて小動物(ペット)と大動物があり、VetNote でメインとなるのは小動物です。ただ獣医であれば参加はできるので、大動物の獣医師もいます。承認などは私の方で確認をとって行っています。

――そもそも獣医師同士をつなぐネットワークやコミュニティは他にないのですか?

二本松:獣医専用の SNS というのが他にもいくつかあるようです。

――そうした SNS より Evernote と Facebook を使うことを選ばれた理由は?

二本松:やはり実名でできるのが大きいですね。獣医師 SNS だと匿名の掲示板機能などもあるのですが、薬用量や治療法などは実名同士のやりとりの方が、信頼性が高いと思います。それから、VetNote はコミュニティとして運営しようと思って始めたわけではないのです。偉い先生からの一方的な情報発信というよりは、獣医師同士で双方向に情報を共有していくというのが出来ればいいなと思っていました。

――他に使えそうなツールとしては Wiki などもありますね。

二本松:Wiki もいいのですが、Evernote と比べるとよりオープンになると思います。ある程度クローズドな方が、治療法や薬用量などを載せるには向いている部分もあるかなと感じています。一般の患者さんが見るものではないですし。

VetNote には獣医療の知識や治療法、症例や手術の写真・動画などのコンテンツ

――なるほど。具体的に Evernote をどう使われているのでしょうか。

二本松:まず、VetNote のノートブックは 3 つ。「VetNote メモ帳」「VetNote 共有写真館」「VetNote 共有資料館」です。メインとなるのはメモ帳で、病気についての知識や治療法、予防法などを記しています。

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――この「VetNote メモ帳」は、二本松さんがもともと書き溜めていたメモがもとになっているのですよね。

二本松:もともとの始まりはそうです。そこに書き加えたり、手直しをしたりしていますので、当初とはだいぶ記載が変わっています。「VetNote 共有写真館」は、症例や手術の写真をストックしたノートブック。「VetNote 共有資料館」は、個人や企業の作った PDF をストックしたノートブックとなっています。音声や動画も入れていますし、手書きのイラストなども入れています。

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――ビジュアルだとわかりやすいですよね。特に動画で治療の手順が見られるのは参考になる獣医さんも多いのでは。しかし、かなりのノート数ですね。

二本松:現在、228 のノートがあります。

――これだけ多いと整理するのも大変そうですが。

二本松:それぞれのノートには細かくタグをつけて整理しています。こうすることで、ノートブックから絞り込む以外にタグで横断的に検索することもできるのです。タグもツリー構造にして整理しています。

――しかし、1,300 人以上もノートブックに参加していると、書き換たりタグをつけたりするだけで混乱しませんか?

二本松:その恐れがあるので、編集権限を持つ人は 5 人程度にしています。ノートの内容を変更する場合は、Facebook グループの方で意見を出してもらって、メンバーで議論を重ねます。その結果、内容を変更することに決定すれば編集権限を持ったメンバーが編集を行うという流れです。いろんな獣医師が参加することによって、集合知というものが実現できるといいなと考えています。

――なるほど。Facebook はそのように使われているのですね。

二本松:Facebook グループは非公開で相談しあったり、意見を募ったり、そういったコミュニケーションをとる場として使っていますね。Evernote ではそういった機能がないので……。ノートに対するコメント機能などがあればいいなと思うのですが。

動物園での診療日誌も Evernote へ。iPhone の音声入力を活用

――たしかにあると便利そうですね。この VetNote ができたことで、どんな反響がありましたか?

二本松:カウンター機能がないので、どれくらい閲覧されているのかということを直接知ることができないのですが、情報量としては全科目をカバーしていますので、各所から重宝しているというお声をしばしばいただいております。個人的には診察中なんかにサッと情報を確認できるのが便利ですね。検索もできるので、本を出して項目を探すよりもはるかに速いです。学会やセミナーなどに出席することも多いので、マルチデバイスかつどこでも参照できるのは助かります。あんちょこ代わりですね。Evernote を始めるまでは印刷してファイルしたものを胸ポケットに入れたりしていましたよ。

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――紙だと編集などが大変ですよね。

二本松:紙だと赤字で書き足していかないといけませんよね。以前はそうしていて、修正がたまってきたら時々書きなおして、再度印刷して持ち歩く……とやっていました。

――VetNote 以外にはどんなことに使われていますか?

二本松:個人としてはメモに使うことが多いですね。出先も iPhone から音声入力することが多いです。

――音声をテキストに変換される?

二本松:ええ。私は動物園にも仕事で行っているのですが、診療日誌をつけるのに便利なんですよ。帰宅してから PC で打つのでは診察内容を忘れてしまいますから、その時あったことを現場で即メモをとるようにしています。

――今後の展望についても教えていただけますか。

二本松:展望というより課題なのですが、実は Evernote のノートブック共有って、1,000 人までなんです。しかし今メンバーは 1,356 人。仕方ないので、最近入った方にはノートブックの共有ではなく、ノートリンクを共有することで対応しているのです。ただ、ノートリンクは URL を知っていれば誰でも見えてしまうので、完全にクローズドではなくなるんですよね。ここを何とかしたいなと考えています。それから、まとめを作って投稿するという流れにハードルが高い部分があるかもしれませんので、もっと気軽に参加しやすい方法はないかなと考えています。

――ありがとうございました!

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